手探りの対応(2)
はじめくんをお預かりした私たちは、とても悩みました。
まずは、はじめくんの様子を観察することにしました。
はじめくんは、授業が始まったときには座っていられます。
でも2、3分もすると、机の上のものが床に落ち、となりの友だちやトイレに立った友だちに声をかけたりちょっかいを出し始めます。
さて、どうしようか。
はじめは教室の一番奥の席に座ってもらうことにしました。となりの席にはだれも座らないようにして、近くに友だちも来ないようにしました。
すると、5分くらいは座っていられるようになってきました。
それに加えて、座っているときは少し大げさに褒めるようにすると、10分くらいは大丈夫になってきました。
そして長く座っていられたら、1分ごとに小さなシールをあげることにすると、15分くらい座れるようになりました。
入塾して3ヶ月目くらいには、20分くらい座れる日も出てきました。
この短期間ですごい成長です。
スタッフも大喜びでした。
しかし、私は素直に喜べませんでした。
それは、はじめくんにとって、単に座っていることが目的になってしまっていたからです。
その証拠に、はじめくんは肝心の課題には、ほとんど取り組めていませんでした。
座っていられない子が、座っていられるようになったのだから、それだけでもスゴいことだと言う人もいました。
でも、私は何かおかしいと感じていました。
座っていることが目的になってしまい、何をするために座るのかという大事なことが、私たちには見えていないように思えたのです。
でも、いったいどうしたら…。
私にはまだ、はじめくんのことを理解するだけの力はありませんでした。
次回に続きます。
本日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。