手探りの対応(3)
当時、私が勤めていた塾の授業スタイルは、生徒は自分の席でそれぞれの課題に取り組み、分からないところや答え合わせがあるときには手を上げて先生を呼び、指導を受けるというものでした。
生徒は自分の席に座ったまま、勉強することになります。
ある日のこと。私は体調が悪く、生徒のところに動いて行けない時がありました。
仕方がないので、その日は授業のスタイルを変えて、生徒がテキストやノートを私のところに持ってくるようにしてみました。
すると、どうでしょう。
生徒は皆、いつもより学習を進めるペースがはやく、集中して勉強に取り組んでいるのです。
私は調子が悪かったので、その日は気のせいではないかと思っていました。
数日後、体調が回復した私は、確かめることにしました。
この前と同じように、生徒には答え合わせや分からないところがあるときに、私のところに来てもらいます。
すると、やはり熱心に取り組むのです。
何回かの授業で試してみましたが、同じように良い印象と手応えを感じました。
しかし、これは一体どういうことなのでしょうか。
これは私の考えです。
小学生以下の子どもは、長時間集中し続けるのは苦手です。学校や塾の授業でも何十分もの間、ずっと集中することはできません。
そこで立ち上がって、先生のところに定期的に来てもらうようにすることで、子どもにとっては程よいタイミングでの気持ちの転換になるようなのです。
数メートル離れた先生の机まで歩き、先生の説明を聞いて自分の席に戻り、問題を解いてまた先生のところに行って…という行動が、子どもたちの集中できる時間やリズムと合っているのでしょう。
手応えを感じた私は、はじめくんのクラスの授業でも試してみることにしました。
つづく
本日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。