手探りの対応(4)
生徒が先生のところに持ってくる方式に手応えを感じた私は、はじめくんのクラスの授業でも試してみることにしました。
はじめくんには、「1問終わったら先生のところに持ってきてね」と説明して、様子をみることにしました。
すると説明し終わって10秒も経たないうちに、はじめくんが持ってきたのです!
これまでは1つ計算問題を解くのに5分以上かかることが多かったので、その時の驚きと嬉しさは今でも覚えています。
「はじめくん、すごく早くできたね〜!!」
満面の笑みというのは、こういう笑顔をいうのでしょう。とびきりの笑顔がそこにはありました。
しかも、はじめくんはとても楽しそうに取り組むのです。
「先生、もうできちゃったよ!」
「どう、先生、早いでしょう!」
とでも言いたげな表情で、どんどんやってくるのです。
これまでのはじめくんは、いったいどうなっていたのでしょう?
今だから私にもわかります。
問題ははじめくんにあったのではなく、私たちの対応の仕方にあったのです。
これまでは、どうにかしてはじめくんを席に着かせよう、椅子に座らせようと、そればかり考えていました。
私たちの頭の中には、授業を受ける生徒は常に席に座っているものという固定観念があったのです。
指導する者はひとりひとりの特性や性格を見極め、その特性を活かした対応を考える。
はじめくんとの出会いは、この大切な原則を改めて考える機会になりました。
「手探りの対応」は今回で終わりです。
本日も最後までお読み頂きましてありがとうございました。